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肥満と疾患- 「肥満が“静かに進行させる”病気たち」

肥満は多くの疾患と深く関連しており、単なる体重の増加以上の健康リスクを伴います。以下に、肥満と関連する疾患を簡単にまとめました。➡減量・体重管理のお手伝い

 

1. 代謝系疾患


  • ●糖尿病(2型): 肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値の調整が困難になります。 
  •  ➡ 肥満と糖尿病
  • ●脂質異常症: 肥満により悪玉コレステロール(LDL)が増加し、善玉コレステロール(HDL)が減少します。
  • ●脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患): 肥満により肝臓に脂肪が蓄積し、肝機能が低下します。
  • ●高尿酸血症肥満はインスリン抵抗性を介して腎臓からの尿酸排泄を低下させ、血中の尿酸値が上昇します。、尿酸値が高い状態が続くと、関節に尿酸結晶が沈着し、激しい痛みを伴う痛風発作を引き起こします。
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2. 循環器系疾患


  • ●高血圧: 体重増加により血管への負担が増し、血圧が上昇します。
  • ●心筋梗塞・狭心症: 肥満は動脈硬化を促進し、心血管疾患のリスクを高めます。
  • ●脳梗塞: 血管の詰まりや高血圧が原因で脳血流が阻害される可能性があります。
  • 心不全:肥満は心臓に直接的な負荷をかけ(心臓肥大、心筋の線維化)、また高血圧や冠動脈疾患を介して心不全のリスクを高めます。特に、収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)は肥満との関連が強いとされます。

  •    ➡ 肥満と心不全
  • 深部静脈血栓症・肺塞栓症:肥満は血液凝固能亢進状態を引き起こし、下肢の静脈に血栓ができやすくなります。これが肺に流れ込むと肺塞栓症という重篤な状態を引き起こします。

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3. 腎臓疾患


  • ●肥満関連腎臓病: 肥満は腎臓の機能低下を引き起こし、慢性腎臓病のリスクを高めます。
  •  ➡ 肥満と腎臓病

 

 

4. 消化器系疾患


  • ●脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患): 肥満により肝臓に脂肪が蓄積し、肝機能が低下します。
  • ●胆石症: 肥満は胆汁の成分バランスを崩し、胆石の形成を促します。
  • 胃食道逆流症(GERD):腹圧の上昇により、胃酸が食道に逆流しやすくなります。

  • 慢性便秘:運動不足や食生活の変化が原因となることがあります。

  • 膵炎:高トリグリセリド血症や胆石が原因で発症リスクが高まります。

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5. 呼吸器関連疾患


  • ●睡眠時無呼吸症候群: 肥満により気道が狭くなり、睡眠中の呼吸が妨げられます。
  •  ➡肥満と睡眠時無呼吸症候群
  • 肥満低換気症候群:極度な肥満により、胸郭や横隔膜の運動が制限され、肺の換気能力が低下し、慢性的な高二酸化炭素血症を来す状態です。睡眠時無呼吸症候群を合併することが多いです。

  • 気管支喘息:肥満は気道過敏性を高めたり、全身性の慢性炎症が喘息を悪化させたりする可能性があります。

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6. 整形外科的疾患


  • ●変形性関節症: 体重増加により関節への負担が増し、膝や股関節の変形を引き起こします。
  • 脊椎疾患(腰痛、椎間板ヘルニアなど):増加した体重が脊椎に負担をかけ、腰痛や椎間板への圧力が増加し、ヘルニアのリスクを高めます。

 

 

7.特定の癌


肥満は、複数のメカニズム(慢性炎症、ホルモン異常、インスリン抵抗性など)を介して、特定の癌のリスクを高めることが明らかになっています。

  • 大腸癌

  • 乳癌(特に閉経後)

  • 子宮体癌

  • 腎癌

  • 食道腺癌

  • 肝癌

  • 膵癌

  • 胆嚢癌

  • 卵巣癌

  • 多発性骨髄腫

 

 

8. 生殖器系疾患


ホルモンバランスの乱れが影響します。

  • 月経異常・不妊症:女性の場合、肥満は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のリスクを高め、排卵障害による月経不順や不妊の原因となります。

  • 勃起不全(ED):男性の場合、肥満はテストステロンの低下や血管障害によりEDのリスクを高めます。

 

 

9.精神・神経疾患


肥満は身体だけでなく、精神的な健康にも影響を与えます。

  • うつ病・不安障害:自己肯定感の低下、社会からの偏見、慢性疾患の合併などが原因で、精神的な負担が増大します。

  • 認知症:中年期の肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを介して、将来的な認知症(特に血管性認知症やアルツハイマー病)のリスクを高めることが示唆されています。

 

10.皮膚疾患


  • 間擦疹(擦れによる皮膚炎):皮膚のしわの間に汗がたまり、擦れることで炎症や感染症が起こりやすくなります。

  • アカンソース・ニグリガンス(黒色表皮腫):インスリン抵抗性の高い肥満者に見られる、皮膚が黒ずみ、ベルベット状になる変化です。

  • 蜂窩織炎:リンパ流のうっ滞や免疫機能の低下により、皮膚の細菌感染症のリスクが高まります。

 

 

まとめ​


肥満は、これらの疾患が単独で発症するのではなく、複数の疾患が同時に発症したり、互いに悪影響を及ぼし合ったりすることが多いのが特徴です。

 

例えば、肥満から糖尿病を発症し、その結果として高血圧や脂質異常症も合併し、さらにそれらが動脈硬化を進行させて心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める、といった連鎖が起こりえます。

 

このため、肥満は「万病の元」と言われ、その予防と管理は、個人の健康寿命を延ばし、医療費の削減にも繋がる重要な課題となっています。適切な体重管理は、これらの多くの疾患のリスクを低減し、健康状態を改善する上で不可欠です。

 

「医師と一緒に始める減量プログラム|自由診療で無理なく体重管理|医学的ダイエットという選択」

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