医療法人社団 元就会 宮脇内科医院<br> 腎臓内科・糖尿病内科・循環器内科<br>  <br>

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ニュース詳細 マンジャロ、リベルサス、SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガなど)について

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マンジャロ、リベルサス、SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガなど)について

今回は患者さんにもわかりやすいようにまとめてみました。


【重要事項】

      • ・下記の情報は一般的な説明であり、すべての方に当てはまるわけではありません。
      • ・下記の薬剤は、いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。
      • ・ご自身の病状や体質、ライフスタイルに合った治療薬を選ぶためには、必ず医師と十分に相談してください。
      • ・気になる症状や副作用がある場合は、自己判断せず、すぐに医師や薬剤師に相談してください。

 

 

これらの薬剤は、糖尿病をはじめ、心臓病や腎臓病など幅広い分野で注目されており、治療の重要な選択肢となっています。当院でも積極的に治療に用いています。

薬剤の効果を十分に活かすためにも、各分野を専門とするような、慢性疾患の治療経験が豊富な医師のもとで適切に処方され、お互いに相談しつつ、経過をしっかりと見守っていくことが大切です。

患者さんの状態に寄り添いながら、安心して治療を続けられるようにすることが望ましいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

SGLT2阻害薬

―血糖コントロールからダイエット、腎臓保護まで―


SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の新しい治療薬として注目されています。血糖値を下げるだけでなく、体重減少や腎臓・心臓の保護といった様々な良い効果が期待されています。ここでは、SGLT2阻害薬について、患者さんにもわかりやすくご説明します。

 

1. SGLT2阻害薬とは?


SGLT2阻害薬は、腎臓の尿細管という場所で糖の再吸収を抑えることで、体から余分な糖を尿と一緒に排泄させるお薬です。これにより、血糖値を下げる効果が期待できます。

 

●作用機序のポイント:

  • ・糖を尿から排出: 通常、体内の糖は腎臓でろ過された後、ほとんどが再び体内に吸収されます。SGLT2阻害薬は、この再吸収をブロックすることで、糖を積極的に尿中に排出させます。
  • インスリンに依存しない作用: 従来の糖尿病治療薬と異なり、インスリンの分泌を促したり、インスリンの効き目を良くしたりする作用ではないため、低血糖を起こしにくいという特徴があります。

 

2. SGLT2阻害薬の種類


現在、日本で処方されている主なSGLT2阻害薬には、以下のようなものがあります。

  •    ・フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)
  •    ・ルセフィ(一般名:ルセオグリフロジン)
  •    ・カナグル(一般名:カナグリフロジン)
  •    ・スーグラ(一般名:イプラグリフロジン)
  •    ・ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)
  •    ・デベルザ/アプルウェイ(一般名:トホグリフロジン)

これらは同じSGLT2阻害薬ですが、それぞれ作用の強さや特徴が異なる場合があります。医師と相談し、ご自身に合ったお薬を選ぶことが大切です。

 

3. ダイエット効果について


SGLT2阻害薬は、血糖コントロールだけでなく、体重減少効果も期待できることが特徴です。

 

●期待できる効果(体重減少)

  • 多くの研究では、SGLT2阻害薬の服用により、数ヶ月から1年で平均して1〜5kg程度の体重減少が報告されています。
  • 体重減少の度合いには個人差が大きく、服用前の体重、食事内容、運動量によっても変わってきます。肥満度が高い方ほど、より顕著な体重減少が見られる傾向があります。

●なぜ体重が減るの?

  • ・尿からの糖排出: 糖は1gあたり約4kcalのエネルギーを持っています。SGLT2阻害薬によって尿から糖が排出されることで、その分のエネルギーが体外に出ていくため、カロリー摂取量を減らしたのと同じような効果が得られ、体重減少につながります。
  • ・利尿作用: 体内の余分な水分も排出されることで、むくみの改善や一時的な体重減少が見られることもあります。

●注意点:

  • ・体重減少の度合いには個人差があります。
  • ・食事療法や運動療法と組み合わせることで、より効果的なダイエット効果が期待できます。

 

4. 腎機能保護効果について


SGLT2阻害薬は、糖尿病による腎臓病(糖尿病性腎症)の進行を抑える効果が報告されており、腎臓保護の観点からも注目されています。

 

●なぜ腎臓に良いの?

  • ・腎臓への負担軽減: 高血糖状態が続くと、腎臓の血管やろ過機能に負担がかかり、腎臓の機能が低下してしまいます。SGLT2阻害薬は、血糖値を下げるだけでなく、腎臓にかかる過剰な負担を軽減する働きがあると考えられています。
  • ・腎臓の血行動態改善: 腎臓内部の血流を改善する作用も報告されています。

出典:

  • ・NEJM Journal Watch. SGLT2 Inhibitors Reduce Cardiovascular and Renal Events in Patients with Type 2 Diabetes. 2019. 
  • ・日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024.

 

5. 心臓保護効果について


SGLT2阻害薬は、心不全や心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクを低減する効果も示されています。

 

●なぜ心臓に良いの?

  • ・心臓への負担軽減: SGLT2阻害薬は、利尿作用により体内の水分量を適切に保ち、心臓への負担を軽減します。
  • ・心筋細胞の保護: 心筋細胞に直接作用して、心臓の機能を保護する働きも報告されています。

出典:

  • ・NEJM Journal Watch. SGLT2 Inhibitors Reduce Cardiovascular and Renal Events in Patients with Type 2 Diabetes. 2019. 
  • ・日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024.

 

6. その他の効果・メリット


  • ・血圧低下作用: 軽度ですが、血圧を下げる効果も期待できます。
  • ・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の改善: 肝臓にたまった脂肪の減少に寄与する可能性も指摘されています。

 

7. 副作用について


SGLT2阻害薬は比較的安全性の高いお薬ですが、いくつか注意すべき副作用があります。

 

  • ・尿路感染症・性器感染症: 尿中の糖が増えるため、膀胱炎や性器のかゆみなどの感染症にかかりやすくなることがあります。清潔を保つこと、水分を十分に摂ることが大切です。
  • ・脱水・めまい: 利尿作用により、水分が体から多く排出されるため、脱水症状や立ちくらみを起こすことがあります。特に夏場や体調が悪い時は、水分補給を心がけましょう。
  • ・ケトアシドーシス: まれに、インスリン注射をしている方や、食事量が極端に少ない方、体調が悪い時などに、血糖値がそれほど高くないにもかかわらずケトアシドーシス(体内で酸が増えすぎる状態)になることがあります。吐き気、腹痛、呼吸が速いなどの症状が出たら、すぐに医療機関を受診してください。
  • ・低血糖: 他の血糖降下薬(特にSU薬やインスリン)と併用している場合、低血糖を起こす可能性があります。

 

気になる症状がある場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

 

8. 服用上の注意点


  • ・指示された用量を守る: 自己判断で量を増やしたり減らしたりしないでください。
  • ・十分な水分補給: 脱水予防のため、こまめに水分を摂りましょう。
  • ・感染症予防: 清潔を保ち、異常を感じたらすぐに受診しましょう。
  • ・シックデイ対策: 発熱、下痢、嘔吐など体調が悪い時は、お薬の服用を一時中止する必要がある場合があります。事前に医師に相談し、対処法を確認しておきましょう。


 

 

 

 

 

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)

―新しい糖尿病治療薬―


マンジャロは、GIP/GLP-1受容体作動薬という新しいタイプの注射薬です。これまでのGLP-1受容体作動薬にGIPというホルモンの作用をプラスしたことで、より強力な血糖降下作用と体重減少効果が期待されています。しかし、副作用や投与に関する注意点を理解した上で使用することが重要です。

 

1. マンジャロとは?


マンジャロは、体内で血糖値のコントロールに関わる2つのホルモン(GIPとGLP-1)の働きを強化するお薬です。週1回の皮下注射で投与します。

 

●作用機序のポイント:

  • 食欲抑制: 脳内の満腹中枢に作用することで、空腹感を軽減し、食事への欲求を自然と抑えます。高カロリー食品への欲求が特に抑制される傾向があります。結果、食事量が減少し、カロリー摂取量が低下します。
  • 満腹感の持続: 胃の内容物の排出速度を遅らせることで、少量の食事でも満腹感を持続させます。間食への欲求を減少させ、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。
  • 脂肪分解/代謝促進: 脂肪の分解を促進し、エネルギー消費の増加に貢献します。 GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)による脂肪細胞での脂肪分解促進作用が、この効果に大きく貢献します。そのため、内臓脂肪の減少も期待できます。基礎代謝向上につながる可能性も示唆されています。

 

2. マンジャロの主な効果


  • ・強力な血糖降下作用: 従来の治療薬よりもHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の低下効果が大きいことが報告されています。
  • ・優れた体重減少効果: 糖尿病治療薬の中でも特に体重減少効果が高いことが示されています。
  • ・心血管イベント抑制効果(期待): 今後の研究で心血管イベント抑制効果も示される可能性があります。

出典:


 

3. ダイエット効果について


マンジャロは、糖尿病の治療薬として開発されましたが、その強力な体重減少効果から、肥満症治療薬としても期待されています。

 

●期待できる効果(体重減少)

臨床試験では、マンジャロによる平均体重減少は15%に上るとの報告があります。5%以上の体重減少を見た患者は全体の85%に及びます。しかし、効果には個人差があり、開始から1~3ヶ月で変化を感じる人が多いものの、それまで数週間かかる場合もあります。効果の発現には食事や生活習慣、投与量も影響します。 最適な効果を得るには、医師の適切な指導と継続的な治療が不可欠です。

一部の痩せ型の患者では効果が少ない可能性があります。

●注意点:

  • 日本では、現時点(2025年6月)では2型糖尿病の治療薬として承認されており、肥満症単独での保険適用はありません。
  • 医師の指導のもと、適切な食事療法や運動療法と併用することが重要です。

 

4. 副作用について


マンジャロも比較的安全性の高いお薬ですが、以下のような副作用が報告されています。

  • ・消化器症状: 吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹部不快感などが比較的多くみられます。投与開始時や増量時に起こりやすいですが、多くの場合、徐々に軽減します。
  • ・低血糖: 他の血糖降下薬(特にSU薬やインスリン)と併用している場合、低血糖を起こす可能性があります。
  • ・膵炎: まれに、急性膵炎が報告されています。持続する激しい腹痛や背中の痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  • ・甲状腺髄様癌のリスク(動物実験での報告): ラットでの動物実験で甲状腺髄様癌の発生増加が報告されていますが、人での関連性は確立されていません。家族に甲状腺髄様癌の既往がある方や、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の方は使用できません。

 

5. 服用上の注意点


  • 週に1回の注射: 決まった曜日に自己注射します。打ち方については、医師や看護師から指導を受けましょう。
  • 冷蔵保存: 冷蔵庫で保管し、凍らせないように注意してください。
  • シックデイ対策: 体調が悪い時は、お薬の服用について医師に相談しましょう。


 

 

 

 

 

 

リベルサス(一般名:セマグルチド)

―GLP-1の経口薬―


リベルサスは、GLP-1受容体作動薬という注射薬と同じ成分(セマグルチド)を、世界で初めて内服薬として利用できるようにした画期的なお薬です。毎日1回、錠剤を飲むだけでGLP-1の効果を得られます。

 

1. リベルサスとは?


リベルサスは、GLP-1というホルモンの働きを強化することで、血糖値を下げる効果を持つ飲み薬です。

●作用機序のポイント:

  • ・GLP-1受容体作動薬: 腸から分泌されるGLP-1というホルモンと同じように働き、インスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌を抑え、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値上昇を抑えます。
  • ・食欲抑制効果: 脳に作用して食欲を抑える効果も期待できます。
  • ・特別な製剤技術: GLP-1は通常、消化管で分解されてしまうため注射薬でしか使えませんでしたが、リベルサスは吸収促進剤(SNAC)を配合することで、胃からの吸収を可能にしました。

 

2. リベルサスの主な効果


  • 血糖降下作用: 血糖値を下げる効果が期待できます。
  • 体重減少効果: 食欲抑制作用や胃排出遅延作用により、体重減少に貢献します。
  • 心血管イベント抑制効果: 注射薬と同様に、心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクを低減する効果が報告されています。リベルサスも同様の効果が期待されています。

出典:


 

3. ダイエット効果について


リベルサスも、糖尿病の治療薬としてだけでなく、その体重減少効果からダイエット目的で使用されることがあります。

 

●期待できる効果(体重減少)

臨床試験では、リベルサスの服用により、数ヶ月から1年で平均して2〜7kg程度の体重減少が報告されています。

●なぜ体重が減るの?

  • ・食欲抑制: 脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑えます。
  • ・胃排出遅延: 胃の内容物がゆっくりと腸に移動するため、満腹感が持続し、食べる量が減ります。

●注意点:

  • 日本では、現時点(2025年6月)では2型糖尿病の治療薬として承認されており、肥満症単独での保険適用はありません。
  • 適切な食事療法や運動療法と併用することが重要です。

 

4. 副作用について


リベルサスも比較的安全性の高いお薬ですが、以下のような副作用が報告されています。

  • ・消化器症状: 吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹部不快感などが比較的多くみられます。投与開始時や増量時に起こりやすいですが、多くの場合、徐々に軽減します。
  • ・低血糖: 他の血糖降下薬(特にSU薬やインスリン)と併用している場合、低血糖を起こす可能性があります。
  • ・膵炎: まれに、急性膵炎が報告されています。持続する激しい腹痛や背中の痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  • ・甲状腺髄様癌のリスク(動物実験での報告): ラットでの動物実験で甲状腺髄様癌の発生増加が報告されていますが、人での関連性は確立されていません。家族に甲状腺髄様癌の既往がある方や、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の方は使用できません。

 

5. 服用上の注意点


  • ・特別な服用方法:
    • 朝一番、コップ半分(約120mL)以下の水で服用してください。
    • 噛んだり砕いたりせず、そのまま飲み込んでください。
    • 服用後、少なくとも30分は飲食を控えてください。
    • 他の薬との併用や、水以外の飲み物で飲むと、薬の吸収が悪くなる可能性があります。
  • ・毎日1回服用: 飲み忘れがないように注意しましょう。
  • ・シックデイ対策: 体調が悪い時は、お薬の服用について医師に相談しましょう。


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