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お知らせ 2025.06.28 NEW
あなたの健康と腎臓を守るために
あなたの健康と腎臓を守るために
はじめに
健康診断などで「腎臓の数値が少し悪いですね」と言われたことはありませんか?あるいは、高血圧や糖尿病などの病気を抱えている方は、将来的に腎臓が悪くなる可能性を心配されているかもしれません。
もし、何らかの不安を感じているのであれば、ぜひ「腎臓内科医」の診察を受けることを強くお勧めします。
「腎臓内科医」と「非腎臓専門医」、どちらの先生もあなたの健康を真剣に考えてくれますが、腎臓専門医だからこそ提供できる専門的な知識と治療があります。
当院では「腎臓内科医=かかりつけ医」となります。
➡3.なぜ腎臓内科医がCKD(慢性腎臓病)の進行抑制に優位なのか?
腎臓内科医とは?
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「腎臓の専門家でありながら“人をまるごと診る医師”」
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「腎臓内科医」と聞くと、「腎臓だけを診る医師」というイメージを持たれるかもしれません。でも実は、その役割はとても幅広く、全身の健康に深く関わるお仕事なのです。
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腎臓は、体の老廃物をろ過するだけでなく、血圧の調整、貧血の予防、骨の健康の維持など、多くの臓器と関係しています。特に、慢性腎臓病(CKD)の患者さんには、糖尿病・高血圧・心臓病・貧血・骨の病気など、さまざまな不調が重なっていることがよくあります。
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さらに、病院には腎臓とは直接関係のない症状を持つ方も多く受診されます。たとえば、風邪や関節の痛み、皮膚のトラブル、気分の落ち込みなど、日常でよくある体や心の不調に対しても、腎臓内科医は“その人全体”を見ながら丁寧に向き合います。専門外と思われがちなことでも、必要があれば他科と連携しながらしっかり対応していくのです。
- 腎臓内科は、循環器内科や消化器内科のように目立つ華やかさはないかもしれません。しかし、その分、患者一人ひとりとじっくり向き合い、深い洞察を持って治療にあたることが求められる分野です。腎臓の健康は生活全般に密接に関わるため、腎臓内科医は細やかな視点で総合的なケアを提供し、患者の長期的な健康を支える重要な役割を担っています。
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こうした幅広い視野と専門性を持つ腎臓内科医は、まるで“交通の要所に立つ司令官”のように、全身の情報を整理して、最適な道筋を患者さんと一緒に考える頼もしい存在です。検査値だけでなく、生活の様子やご家族の思いも大切にしながら、体と心の両面から支えてくれる――まさに“少し特別な総合診療医”とも呼べるかもしれません。
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医師の知識や経験は、はっきりと分かれる線ではなく、グラデーションのようにつながっています。一つの臓器に詳しくなることで、周りの臓器や体の仕組みにも自然と視野が広がっていく――それが腎臓内科医を含めた専門医の持つ、奥深い力と考えます。
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静かで堅実な医療の力が、患者さんの未来を守る支えとなると信じています。
CKDと診断される前から腎臓内科医を持つことの重要性
「まだCKDとは診断されていないから大丈夫」と思っていませんか?実は、CKDと診断される前から腎臓内科医を「かかりつけ医」として持つことは、将来の腎臓の健康を守る上で非常に重要です。
なぜなら、腎臓病は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。知らないうちに病気が進行し、気づいた時にはかなり悪化しているケースも少なくないのです。
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1.早期リスク評価と予防的介入:
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、家族に腎臓病の人がいるなど、CKDになるリスクが高い方はたくさんいらっしゃいます。
- 腎臓内科医は、これらのリスク要因を詳細に評価し、CKDの発症を未然に防ぐための具体的なアドバイスや治療を早期から行うことができます。
- 健康診断の数値にわずかな異常が見られた段階で相談することで、病気の芽を摘み取ることが可能になります。
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2.オーダーメイドの生活指導:
- 食生活や生活習慣は、腎臓の健康に大きく影響します。腎臓内科医は、個々の生活スタイルや既存の病気(高血圧、糖尿病など)を考慮し、腎臓に負担をかけないための具体的な食事指導や運動のアドバイスを提供できます。
- CKD発症前の段階から、腎臓に良い生活習慣を身につけることは、将来の腎臓病予防に直結します。
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3.他の疾患との兼ね合いを考慮した治療:
- 高血圧や糖尿病などの持病がある場合、その治療薬が腎臓に影響を与えることもあります。
- 腎臓内科医は、他の病気の治療と腎臓への影響のバランスを考慮し、最適な薬の選択や用量調整を行うことができます。
- 全身の健康状態を見ながら、腎臓を守るための治療計画を立ててくれるので安心です。
なぜ腎臓内科医が特にCKD(慢性腎臓病)の進行抑制に優位なのか?
CKD(慢性腎臓病)は、一度発症すると完治が難しい病気です。しかし、早期に発見し、適切な治療と管理を行うことで、その進行を遅らせ、透析導入や腎臓移植が必要になる時期を大幅に遅らせることが可能です。このCKDの進行抑制は、腎臓内科医のもっとも重要な役割の一つです。
腎臓内科医がCKDの進行抑制に優位な理由は以下の通りです。
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1.早期発見・早期介入の専門性:
- 腎臓内科医は、一般的な血液検査や尿検査の結果だけでなく、腎臓病特有のマーカーや、病気の進行度を示すGFR(糸球体濾過量)などの数値を詳しく評価できます。
- これらの数値のわずかな変化から、CKDの兆候を早期に発見し、まだ症状が出ていない段階で介入を開始することができます。
- 非腎臓専門医では見逃されがちな軽度の異常も、腎臓内科医であれば見逃さず、適切なタイミングで治療を開始できるのです。
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2.病態に応じた最適な治療選択:
- CKDの原因は、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など多岐にわたります。
- 腎臓内科医は、それぞれの原因や病態に応じた最適な薬物療法(血圧コントロール、血糖コントロール、尿蛋白抑制薬など)を選択し、個々の患者さんに合わせて細かく調整することができます。
- 腎臓に負担をかけにくい薬剤の選択や、複数の薬剤の組み合わせなど、腎臓を守るための知識と経験が豊富です。
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3.合併症の予防と管理:
- CKDが進行すると、高血圧、貧血、骨代謝異常、心血管疾患など、様々な合併症を引き起こしやすくなります。
- 腎臓内科医は、これらの合併症のリスクを早期に評価し、適切な予防策や治療を行うことで、患者さんの全身の健康を守ります。
- 特に、心臓と腎臓は密接に関連しており(心腎連関)、腎臓内科医は心臓への負担を考慮した治療も行うことができます。
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4.食事療法・生活習慣指導の専門性:
- CKDの進行抑制には、薬物療法だけでなく、適切な食事療法や生活習慣の改善が不可欠です。
- 腎臓内科医は、病期の進行度に応じて、塩分、タンパク質、カリウム、リンなどの摂取量を細かく指導することができます。
- 患者さん一人ひとりの状態に合わせたアドバイスも行うことで、治療効果を最大限に高めます。
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5.透析導入・腎臓移植へのスムーズな移行:
- 残念ながら、CKDが末期腎不全に進行し、透析や腎臓移植が必要になる場合もあります。
- 腎臓内科医は、透析導入のタイミングの見極めや、適切な透析方法の選択、腎臓移植に関する情報提供やサポートまで、一貫して行うことができます。
- 患者さんが安心して次のステップに進めるよう、包括的な支援を提供します。
参考文献
CKDの進行抑制における腎臓専門医の重要性は、国内外の様々なガイドラインや研究で強調されています。
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・日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン」:
- CKDの診断・治療・管理に関する包括的な情報が記載されており、腎臓専門医による専門的介入の重要性が明記されています。
- 特に、CKDのステージが進行するにつれて、腎臓専門医との連携の必要性が高まることが示されています。
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・KDIGO (Kidney Disease: Improving Global Outcomes) ガイドライン:
- 国際的な腎臓病診療ガイドラインであり、CKDの早期発見と進行抑制、合併症管理における専門医の役割が重視されています。
これらのガイドラインは、腎臓専門医の介入が、患者さんの腎機能を維持し、QOL(生活の質)を向上させるために不可欠であることを裏付けています。
まとめ
あなたの腎臓は、一度悪くなると元に戻すのが非常に難しい臓器です。だからこそ、少しでも腎臓に不安を感じた際には、迷わず「腎臓内科医」の診察を受けることを強くお勧めします。
特に、まだCKDと診断されていなくても、高血圧や糖尿病などのリスクがある方、あるいは健康診断で腎臓の数値に軽微な異常が見られた方は、早めに腎臓内科医を「かかりつけ医」とすることで、将来の腎臓病のリスクを大きく減らすことができます。
腎臓内科医は、あなたの腎臓を最もよく理解し、進行を遅らせるための最適な治療とケアを提供できるスペシャリストです。早期に腎臓内科医の診察を受けることで、あなたの腎臓と健康を長く保ち、より良い生活を送るための大きな一歩となるでしょう。